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会社の経営者の方や、個人事業主の方などから、いわゆる顧問弁護士をつけた方がよいのかどうかというご相談をお受けすることがあります。
弁護士の顧問料の相場は、月額3万円~10万円程度であると思われますので、そうした顧問料を毎月いただけることは、法律事務所を経営する弁護士の側にとってはありがたいことなのかもしれません。
しかし、最も一般的と思われる月額3万円の顧問料の場合でも、年間のお支払額は36万円になり、3年間で108万円、10年間で360万円もの顧問料のお支払いが必要になりますので、顧問料のお支払いをされる事業者の方からすれば、これは大きな負担ではないかと思います。
そして、このような負担の大きい顧問料のお支払いをされているにもかかわらず、損害保険業・金融業・不動産業などの法的紛争の多い事業を営む方々でない限り、その顧問料に見合う法的サービスが受けられることは稀です。
一般的な顧問弁護士の業務は、①各種契約書の作成・チェック、②経営者及び従業員の方々の相談受付、③法的紛争への対応、④セミナー・講演などであると思われますが、多くの事業者は定型的な取引先と定型的な取引をされることが多いと思われますので、予防法務的な意味での①の契約チェックが必要になることはそう多くはないはずです。
また、一般的な法律事務所の相談料は1時間1万円であると思われますが、経営者の方々が毎月3回以上の法律相談を必要とすることは稀であると思いますし、従業員の方々が職場の顧問弁護士にプライベートな相談をすることも稀であると思われますので、②の点でも顧問契約にはメリットがなく、むしろ単発で弁護士に相談をされた方が毎月の顧問料よりも負担が少なくなるのではないかと思われます。
③の紛争対応についても、上記のような「もともと法的紛争の多い業種」でない限り、毎年のように法的紛争が生じる事業者は稀であると思います。よほどの大掛かりな事件でない限り、民事訴訟の弁護士費用が100万円を超えることは少ないですので、「めったにないトラブル」のために3年で108万円もの顧問料をお支払いされるのは、もったいないのではないかと思います。また、「顧問先への訴訟対応の割引」を謳っていたとしても、もともとの弁護士費用が高額であったり、基準が不明確であったりしたら、全く割引の意味がありません。
そのため、従来型の顧問業務を前提とするならば、もともと法的紛争の多い事業を営む方や、定期的なセミナーを希望される方でない限り、弁護士と顧問契約を結ぶメリットは少ないだろうとと思います。
弁護士に相談をするというのは、かつては敷居の高いことであったのかもしれませんが、現在は弁護士の数も増えており、ホームページ等で簡単に弁護士を探すことができます。必要が生じた際にその都度相談をする弁護士を探し、複数の弁護士のアドバイスや費用を比較したうえで依頼をする弁護士を決めるという方が、弁護士と顧問契約を結ぶより、費用面でもサービス面でもメリットが大きいと思うのです。
当事務所に来所される方の中には、「顧問契約を結んでいる弁護士はいるが、恥ずかしい相談内容なので顧問弁護士に相談できなかった」という方もいらっしゃいます。そのような顧問契約に何の意味があるのか、疑問を感じることが多いのです。。。
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